"今月の分子"はルシフェラーゼ
PDB (Protein Data Bank) の Molecule of the Month で、今月はルシフェラーゼが紹介されている。 *左の図は、PDB ID 2D1S を元に、David S. Goodsell によって描かれたゲンジボタル由来のルシフェラーゼの立体構造 このルシフェラーゼは、ホタルの光(歌じゃないぞ)の元になるタンパク質だ。ルシフェラーゼが、ルシフェリンと呼ばれる発光物質(左の図で黄色く光っている物質)の化学反応を触媒することで、光が発生する(ホタルの発光メカニズム・ルミノールのメカニズムについて/株式会社ルミカ)。 # てっきり、GFPのようにタンパク質自身が光るもんだと、誤解していた・・・。 ルシフェラーゼが発する色は、普通は黄緑色だけれども、ルシフェラーゼのたった一つのアミノ酸の種類を変えるだけで、この色を赤く変化させる事が出来る。これが初めて発見されたのは15年前なのだが、なんで色が変わるのかは、ずっと分からなかったらしい。 で、結晶構造からその謎を明らかにした論文が、3月のNatureに掲載された。論文の著者は日本人で、Spring-8で結晶構造を解いたようだ。素晴らしい。 *画像は PDB ID 2D1S および 2D1T から作成した。 論文の画像をそのまま使うのはマズそうなので、自分で画像を描いた(結構久しぶり)。上の図は、286番目と288番目のアミノ酸の位置関係を、野生型は緑、セリン→アスパラギンの変異タンパクは赤で示している(右側の黄緑色の分子は、発光物質のルシフェリン)。左側に表示されているアミノ酸(Ser/Asn286とラベル)をセリンからアスパラギンへと変えることによって、右側のイソロイシン(Ile288とラベル)の位置と向きが大きく変わっているのが分かる。これによって、ルシフェラーゼが発する光が黄緑から赤に変わるらしい。 ----- 6/28 追記 ----- 上で、”位置と向きが大きく変わる”と書いてるが、数字で言うと、その変化は1.5 Åに過ぎない。今流行のナノテクなんかは、nm (ナノメートル) の単位で話をするが、タンパク質工学はさらにその1/10の単位 (1 Å = 0.1 nm) で話が進む。 ---------------------- 全体からするとほんの一部分を変えただけなのに、見た目に大きな変化がある(場合がある)のが、タンパク質の面白いとこですわ。
by fkmn
| 2006-06-22 22:51
| ライフサイエンス
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