【感想】博士の愛した数式
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Amazon.co.jp: 博士の愛した数式: 本: 小川 洋子



 脳に障害を持ち80分しか記憶が持たない初老の数学者、家政婦の女性とその息子ルート、3人の心の交流を描いた作品。時には相手を傷つけてしまう事がある。思いやりが仇となる事もある。そういった事を糧としながら、絆を深める3人の物語は、読んでいてやさしい気持ちになれる。

 そして、本文もさることながら、文庫版の解説がまた素晴らしい。解説を書いたのは、数学者の藤原 正彦さん(注1)。作者の小川 洋子さんは、藤原さんにインスピレーションを受けてこの小説の執筆を始めたらしく、小川さんに取材を受けたときの様子から、雑誌に掲載された作品を読むまでの様子が解説に書かれている。「数学と純文学が結びつくのか?」、そんな疑問、ためらい、心配を抱いていた様子だったのだが、最後にはそれが歓喜に変わる。読んでいるこっちまで嬉しくなってしまった。

 作品中に「オイラーの等式」という印象的な数式が出てくるのだが、まさに本作品はこの「オイラーの等式」に象徴されていると思う。「オイラーの等式」について、Wikipedia(オイラーの公式 - Wikipedia)から引用する。
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この式は、全く起源の異なる重要な2定数、円周率 π とネイピア数 e が、極めて基本的な数、0, 1 および虚数単位 i によって結びついている非常に重要な等式である。この予想外の調和・連関を明らかにすることから、オイラーの等式は、"人類の至宝" とも呼ばれる。

 作品中で、主役の3人、数学、阪神が不思議なほどの調和を見せ、さらにその作品は、本来ならば接点がないように思われる数学者と文学者の調和によって生まれたのだ。数学は、現実ではなく理想世界の学問という側面が強いが、だからこそ境界を簡単に飛び越える力を持っているということを感じずにはいられない。


注1、「国家の品格」の著者らしい。こんど読んでみよう。
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by fkmn | 2006-07-13 23:36 | 日記
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