【感想】カラマーゾフの兄弟(亀山郁夫 訳)
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟3
カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 1 (光文社古典新訳文庫)
カラマーゾフの兄弟 2 (光文社古典新訳文庫)
カラマーゾフの兄弟 3 (光文社古典新訳文庫)
カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)


小説自体の内容もさることながら、「訳」の部分にも注目してしまう。

「カラマーゾフの兄弟」の訳本はいくつもあるけれど、今であれば、この亀山郁夫訳がお勧めなのは間違いない。もうこれほどかというほどに、「カラマーゾフの兄弟」を読みやすく工夫が散りばめられている。

箇条書きにしてみると、

1. 訳の日本語が読みやすい
 「いま息をしている言葉で」というのは、光文社古典新訳文庫で標榜されている文言。本書では、これが確かに実現されている。文章が、つまづく事なく、スッっと頭の中に入ってくる。

2. 名前への配慮
 ロシア文学の一つ厄介なところは、登場人物の色々な愛称が唐突に出てくる事。予備知識なく「ミーチャ」->「ドミートリー」のような変換が出来る日本人はまずいないと思う。本書では、しおりに人物紹介が書かれていて、そこに愛称とフルネームが併記してある。これだけで分かりやすい。さらに、第一巻の読書ガイドで、ロシア文学の人物名称に関する特徴が解説されていて、これを読めば名前に関して迷う事も無くなると思う。

3. 読書ガイド
 各巻末に読書ガイドがつけられている。その巻ごとの読みどころが解説されていて、より深く「カラマーゾフ」の世界を楽しむ事が出来る。ネタバレしないような配慮もされているので、まず本文を読む前に、この読書ガイドを読むべき。

4. 部ごとに分冊されている
 亀山郁夫訳では、1部に対して1巻が割り当てられている。そのせいで、各巻のページ数が若干いびつにもなっているけれども、それにも増して、各部ごとの区切りが明確になっていて、全体の構造が把握しやすくなっている。

とにかく、とても読みやすくなっている。訳者の「カラマーゾフの兄弟」への熱狂が紙の裏からにじみ出てくるよう。
 日本のどこかで、だれかが、どの時間帯にあっても、つねに切れ目なく、お茶を飲みながら、あるいはワインを傾けながら、それこそ夢中になって 『カラマーゾフの兄弟』を話し合うような時代が訪れて欲しい、と。
【カラマーゾフの兄弟 5 p. 363】
本書によって、訳者の夢は一歩実現に近づいたのは間違いない。




 以下、蛇足っぽくなるけど、原卓也訳に続いて、2回目の「カラマーゾフの兄弟」を読んで感じたこと。

どうやら僕は、他のカラマーゾフの兄弟に熱狂する人(例えば、訳者の亀山さんや「極東ブログ」さん、等々)のようなインパクトをこの小説からは受けていないらしい。

 たぶん、それは、僕がアリョーシャの立場からでしか、この小説を読めていないからではないかと思う。もう少し歳を取って、ドミートリーやフョードルの立場が理解できるようになった時(たぶん10年か20年後)、もう一度この本を読んでみれば、また違う印象を受けるのではないか、という直感がある。
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by fkmn | 2007-09-23 15:25 | 読書記録
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