【感想】日本人はなぜシュートを打たないのか?
日本人はなぜシュートを打たないのか? (アスキー新書 18)
Amazon.co.jp: 日本人はなぜシュートを打たないのか? (アスキー新書 18): 本: 湯浅 健二

 ここの書評を読んで興味を持ったので、読んでみた。これは、予想外のヒット。

 本書の中で著者は、サッカーを "本物の心理ゲーム" とし、そこで勝つ為には、攻撃守備共にリスクにチャレンジする姿勢が必要だと主張する。思わせぶりなタイトルとは裏腹に、ほとんどサッカーの話題に終始するのだけれど、自分としては、そこに日本の組織を重ね合わさずにはいられなかった。

 気になった点を以下に引用してみる。
個人は社会や集団を協力して支える構成要因だと考える、集団主義的な性質が目立つ日本人は、一般的に一人で責任を負う事に慣れていないと言えるかもしれない。だから「守り」の意識が強くなり、ゴールを決められる確率が極大になるような絶対的チャンスにしかシュートを打たないという傾向も強くなる。
p.004
なんだか一般論のようだけど、その体に染み付いた日本人的性質に苦しんだ筆者の言葉にはひどく説得力がある。

 個人的な考えだけど、そもそも、日本人はミスを避けるというよりも、ミスがある事をとても嫌う傾向があるとも思う。長所がある事を評価するのではなく、短所がない事を評価すると言い換えてもいい。例えば、「日本のモノ作り崩壊」といった見出しの記事が書かれるときは、なにかの製品(もしくはシステム)に欠陥が発見された場合に相場が決まっている。ソニーがここ数年魅力的な製品を生み出せていないような状況を指して「モノ作り崩壊」とは決して言わない。

 世の中のニュースを見ていて気になっていたところに、こういう文章が飛び込んできたので、自分としてはツボにハマった感じだった。

ボクは、天才スター選手を、時としてチームプレーのブレーキになってしまう存在とか、チーム戦術に取っての「諸刃の剣」などと呼ぶ事が多い。スター選手のマネージメントにおいてこそ、本当の意味でのコーチの腕が問われるのである。
p.029
いや、これも考えさせられる。ソフトウェアやシステム開発なんかは、特にスター選手に依存する部分が多い気がする。でも、戦後の日本は、スター選手を求めない集団プレーで成功を収めてきたわけで、その辺りの齟齬が今のシステム開発の閉塞感を生み出しているんじゃないだろうか?

 下手にサッカーと日本人を結びつけられずに、筆者がドイツへのサッカー留学中に直面せざるを得なかった自分の中の日本的縛りとそこから生まれたサッカー論に限って話題が展開するので、かえって自分の中で話を広げる余地を与えてくれる本だと思う。そういう意味では、(僕のような)サッカーをあまり知らない人にお勧めの本なのかもしれない。
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by fkmn | 2007-12-12 23:55 | 読書記録
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